彫刻学科一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜立体造形・デッサン31※立体造形・デッサンは同一作者の作品を掲載しています。[教員コメント]デッサンと立体造形の両方において、近年社会問題となっている「特殊詐欺」をテーマとしている。デッサンでは、薄い素焼きのような質感を持つ頭部が割れ、その内部から一回り小さな頭部が現れるという構成。表情の変わらない陶磁器のような頭部の質感や厚みを作者が明確にイメージしながら丁寧に描写している様子がうかがえる。 立体造形においては、写真では確認が難しいが、頭部の裏側に数十個の顔面が貼り付けられている構造となっている。正面と背面で大きく異なる印象を与えることで、鑑賞者に強い驚きを与えたいという作者の意図とユーモアが感じられる。[教員コメント]霧に包まれたような淡いタッチと色調で描かれたデッサン。一見、劇画調にも見えるが人体の構成はしっかりと把握されており、瞳、肌、髪の毛、衣服の質感表現も統一感があり選んだテーマへの想いが感じられる。立体造形も多くの空間を孕んだ造形で、フォルムと空洞とのリズムや、流動的な物体そのものの抜け感が心地よい。控えめな表現ながら基礎力を備えている。
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