68[教員コメント]モチーフの複雑な陰影と質感が緻密に表現され、有機的なフォルムが際立っている。鉛筆のタッチにより、立体感と存在感が巧みに生み出されている。自身のデッサン能力を的確に把握し、難易度とのバランスがとれた適切なモチーフを主体的に設定することで、完成度の高い作品に仕上げている。[教員コメント]ウサギなどの耳の長い動物は親しみやすく愛らしい。丸顔でモフモフしていて幸福感を与えてくれる。「デッサンしやすい形」というのは「描きやすい形」だけではない。「描いていて楽しい形」という捉え方も可能だと教えてくれる作品だ。[教員コメント]大胆に画面を横切る構図に惹きつけられる。手前にせり出した粘土の繊細な質感の表現や、奥行きの空間表現に確かな表現力を感じる。奥に行くにつれ徐々に変わっていく粘土の質感なども、作者の観察力と、それを上手く切り取る巧みさを感じさせる。うねるような運動と緊張感が調和した作品になっている。[教員コメント]巧みな造形性が細かい描写によって、十分に引き出されている。柔らかな形態が動いているかのように見える不思議なリアリティは、生物の触手のような形が、さまざまな方向へ向けられているからだろう。繊細な感覚を感じさせる秀作である。
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