入試問題集2025|多摩美術大学
90/172

88[教員コメント]水泳教室などで水に慣れるため、水中に一定時間潜るという経験は誰しもがあるはずだ。本作品は「1秒間」を、単独の時間としてではなく、ある一定の長さを持つ時間の最後の部分として捉えてみた視点や、画面全体をうまく利用しながら最後の瞬間の苦しさをうまく描いている描写力を評価した。[教員コメント]私たちは、退屈な時間と楽しい時間では同じ1時間でも長さの感じ方に変化があるように、主観的に大きく時間の扱いが変わってしまうことがある。この作品では、歩くのが困難な猛吹雪の中ではたった「1秒間」の移動もとても苦しく長く感じてしまうという主観の問題を取り上げ、丁寧に描写している点と合わせて評価した。[教員コメント]ニュートンが木から落下するりんごを見て、万有引力のアイデアを着想したという有名な逸話があるが、この作品は「1秒間」をりんごが落下している時間と捉え、その様子を描いている。高速に落下する物体を人間の目で捉えることは難しく、常にぶれてしまう様子をうまく視覚化しているところも含め評価した。[教員コメント]雲は、大気中の湿度や温度、気流などの影響を受けて発生するものであり、変化する状況に応じて刻々と姿を変えていくため、明確に決まった形状というものは存在しない。この作品では「1秒間」という□かな時間の中でもその形を維持できず変化し続けてしまう雲の特性をアイデアとして利用している点を評価した。ニュートンの1秒間さっきは犬だったの!あと1秒のガマンだ!進みづらいと長い

元のページ  ../index.html#90

このブックを見る