芸術学科一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜小論文/鉛筆デッサン83[教員コメント]一見何気無い構成に見えるものの、与えられたモチーフの硬さと柔らかさ、薄さと厚さ、透明性と不透明性、色の違い等を目と手でひとつひとつ確かめ、それぞれの特性をさらに際立たせる構成へと発展させ、鉛筆デッサンと文章にて自らの表現へと昇華できています。[教員コメント]花紙から子どもの頃の遊びを思い出したことに着想を得たモチーフの構成は、かなり独創的な表現で他に例のないものでした。一方で、細部にわたる繊細な鉛筆デッサンが、モチーフ間の動きやエネルギーのようなものさえ描き出し、文章においてもその相関性を感じさせます。鉛筆デッサン[言葉によるデッサンを含む] 画面上には、ふたのないびんが一つと、もも色の花紙が一枚、さくら色の花紙が一枚、プラスチック製の固いテープとそれを留めるクリップがある。もも色の花紙はふんわりと半分にたたまれ、その上にびんが置かれている。花紙が重なっている部分はもも色がじんわりと濃くなっている。びんの反射光を受けて照らされている様子もみえる。テープは若葉色をしていて網目はひし形になっている。やや光を反射し、自力でくるくる丸まる性質があることから一本のテープでも様々な表情を見せる。テープはらせん状にびんの後ろ側から右手前に向かっており、その端でクリップが軽くかけられている。びんの存在感と、テープのらせんがつくる空気感を目立たせるために、奥側にもも色の花紙を配置し手前にはうすくさくら色の花紙を広げた。私は今回モチーフを組む際に、まずはテープの扱いに困った。言うことを聞かずくるんくるんと転がった。また花紙はうすくて破れてしまいそうだった。しかし、その時、私はその様子がまるで春のように思えた。桜がくるくると空を舞い、あたたかくて涼しくて明るく、軽やかな季節。今日はまだ道路に雪が残り、手がかじかむくらい寒い。私は春への憧れや待ちきれなさを感じながら、もう少しでまた今年もやってくるあの季節に思いをはせていた。 机上には、蛇腹折りになり、ガラスびんに入った花紙、そのびんの内側から手前に向かって伸びるポリプロピレンバンド、そしてその上にまた蛇腹折りになった花紙がバンドストッパーで止められたものが置かれている。 私は、花紙を見た時、小さい頃にリボンのような形にして遊んだことを思い出した。蛇腹折にし、真ん中をバンドストッパーで止めると、ストッパーの二つの突起は触角に、大きく広げられたリポン状の紙は羽のようになり、まるで蝶のような形へ変わった。薄く、ふんわりとした花紙の質感は、優雅に飛ぶ蝶の姿を連想させるようで美しい。 また、花紙の蝶の方からガラスびんの中へ曲線を描きながら配置されたポリプロピレンバンドは、蝶の飛ぶ軌道を表すかのようである。ポリプロピレンバンドは完全に光を通さない材質ではないため、大きく曲がり、光がよく当たる部分は、びんの中に入った部分よりも色が明るくなったいる。 花紙を蝶とすれば、びんに入れられた花紙は、蜜をたくわえ花器に差された花に見立てられるだろう。蝶の羽と同じく、薄く軽い花紙は、きゃしゃで優美な花弁を思わせる。また、ガラスびんは透明であるという特徴を持ち、入り口付近で花紙とポリプロピレンバンドがゆがんで見える点にその特性を感じる。 このように、モチーフは全て人工物であるが、その中にも自然物と共通する特徴を見出すことができるという点は面白い。
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