tonATELIER_Vol.02
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の環境をフル活用したことによる。「最初は、ガチガチになって塑像を『作ってやる』と、それこそ泣きながら作りまくっていました。それなのに教授からは『今までの考え方は捨てなさい』と言われる。わたし、不器用なんですよ。デッサンとかも遅いし。こつこつと勉強することもできないし。で、『作ってやる』って思っていたんです。だけど、そういう思春期が終わって、あるとき作ることよりも“見る”“観る”“眺める”ことが重要だと気づいたんです。使われなくなったものはそれだけでは自立することができない。でも互いに凭もたれかかったり寄ルを作品としている。生きていくなかで発見し続けること、それを少しずつずらしていくことにより共通の言語を見つけだし、物の生態やシステム自体を作り替えていく。 角度やタイミングで変わってしまう捉えようのない、彼女の心に居座った“ただ、あるだけ” のカタチが、むくむくと起きるのである。Graduates' messageり添わせたり依存させてやれば、まったく違うカタチとして立つことができる、と思ったんです」 “作る”のではなく“起こす”、と彼女は言う。そんな彼女に、今の高校生に伝えたいことがあるとしたら、と聞いてみた。 「人は変わる。今の状況や悩みは、まったく問題ではない。ただ一番興味のあることをどこまでもやる、という感じですね」 カタチは、そのときどきで変わる。彼女は一貫して生活活動を通して、さまざまな見方、見る方法、事物のルー『ENTRANS FIELD -耕せる民-』2009 写真:山本糾かがぶ しほ・1981年神奈川県生まれ。2007年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程(修士課程)彫刻専攻修了。さまざまな場所や日用品を素材に、人と物が関わるときに起こる変化を作品制作、発表活動。'08年新世代展/なびす画廊参加。'09 引込線 所沢ビエンナーレ、ホテルアオゾラ(switchpoint)、'10 voca展(上野の森美術館)、data and vision(AKIgallery,taipei)、back to the drawingbord(geh8.ドレスデン)他、12月2日〜3月6日まで公開制作51(府中市美術館)、'11.2、3月板橋区美術館、4月アキバタマビ21(ARTSCHIYODA3331)開催予定。http://www.kagabu.com/

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