tonATELIER_Vol.04
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 「きっと美大に行きたいという人は、僕もそうだったけど、絵を描くことが大好きなんですよ。僕は上に二人の姉がいる末っ子なんですけど、小さいときは姉たちに言葉でうまく伝えられなくても、絵を描くとそれが伝えられたんです。それがうれしくて絵が好きになったと、今にしてみると思いますね」 そうして大学に入学し、彼は織物を学ぶようになる。 「最初はウエアテキスタイルのほうに興味があったんですけど、2年生のときに一通りのことを授業でやっていくうちに、自分は織物のほうが向いていると思ったんです。結局それが今に繋がっているわけです。美大って、すごく自由な雰囲気なんですけど、自分から求めて何かをして道を切り開くところだと思うんです。だからやりたいと思ったことはやってみたらいいい。ほんの一瞬でもいいから熱狂して、興味が他に移ったらまた熱狂して、ひとつひとつに自分なりの答えを見つけることが経験になると思います。好奇心の旺盛な人がいいですよ。多摩美は課題も多くて大変だったけど、そのなかでも好き勝手に遊んでいました。作品はアーティスティックな方向もあり、ロープを針金で編んだり、面白いものをつくるんだ、みたいな。しかも僕は本気でバンド活動までやっていましたからね。いろんな経験がないと秀でたモノは作れないと思う。さらに優れたデザイナーに共通するのはプレゼン力ですよね。それは言葉や身振りや全身で伝える力だと思います。これはその人がいろんな経験のなかから感じ取っていったものだと思うんです。いろんな経験は、旺盛な好奇心と行動力によって作られます。そして経験はたくさんの引き出しやポケットを作ってくれます。これは社会に出たときに必ず強力な武器になる」143F宴会場ホワイエ70Fスカイバンケットルーム3F鳳翔写真提供 横浜ロイヤルパークホテル経験は好奇心と行動力から作られる「緊張とリラックスがアイデアを生む。」

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