tonATELIER_Vol.04
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員は展示する作品を選択する基準が見出せないですからね」 学芸員は理屈が大切。ひたすら本を読んで調べて、資料を作ってファイルして…。理屈を構築していく。 「学芸員の仕事は本当に地味なんです」そう語る野田の仕事場は、美術館のなかにある自身の机。たくさんのファイルがきれいに並んだ机だ。 「資料を集めたり整理したり見直したり、その繰り返しなので、ファイルが見やすいように机の上だけはいつもキレイにしておきたいんです」 学芸員は展覧会の主役じゃない、と彼はいう。それでも10年後には…、 「野田の企画した展覧会だから行ってみようか、といわれる学芸員になりたいですね。僕もそうやって展覧会を見て回っていましたから」と、照れくさそうに笑った。夢を語るのに、理屈は必要としなかった。(高校生のころの佐野元春とか演劇の野田秀樹とか映画だったらリュック・ベッソンの『サブウエイ』とかあるけど…)小学生のときに『るんるんカンパニー』という作品に出会ってから、とり・みきさんの漫画ですね。ギャグ漫画なのに、面白さの理由というか、ギャグの仕組みとか、とにかく理屈を説明していて、僕の考え方の基本になっていると思います。Graduates' message『るんるんカンパニー』とり・みき/ハヤカワ文庫のだ なおとし・1971年東京都生まれ。’93年多摩美術大学美術学部芸術学科卒業。’95年多摩美術大学大学院絵画専攻芸術学専攻修了。’98年サントリー美術館に学芸員として勤務。’99年草月美術館に移り、2003年より世田谷美術館にて学芸員として勤務。企画課に所属し、企画展を担当するほか、将来の企画展の調整をしている。’10年多摩美術大学の図書館に文庫がある詩人の北園克衛と、北園の兄である彫刻家の橋本平八の作品を初めて一緒に紹介する展覧会を担当。影響を受けたモノ・コト「ここに考え方の基本が!」

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