飛び込むには寒すぎる
荒井 颯子
作者によるコメント
今までは一つの絵の中に一つの物語を描いてきましたが、卒業制作を描くにあたってそれらを集めて一つの流れにしてみたら面白いのではないかと思い、映画の群像劇のようなさまざまな物語が交差する場面を描きました。私は日常の中で一瞬すれ違う人との関係性に興味を持っています。それは一瞬ですが、もしかしたらその一瞬が誰かにとっては最良の時で、また、誰かにとっては最悪の時かもしれません。それが自分の人生と重なっていることを思うと不思議な気持ちになります。私が物語が好きなのは終わりがあり、その続きを想像できるからです。卒業制作として一つの物語の終わりを描くことが私のやりたかったことでした。
映画が好きで、映画のような世界が作りたかった私が映画の代わりに作った作品です。
担当教員によるコメント
無国籍な乾いた場面に登場する人物は一見何か関係しているようではあるがそれぞれがバラバラにお互いがお互いを意識せずに存在している。作品を見る者も画面内の世界で個々に対して向き合うことになり全体の物語を把握することができないまま視点は画面の中を彷徨う。
荒井さんは一瞬すれ違う人との関係性に興味をもち自分の人生にすれ違う不思議を作品にしています。映画の群像劇のような場面を描いたというこの作品で、大きな世界の括りと小さな括りの関係をうまく繋げられたのではないかと思います。物語には終わりがありますが作品ではその続きがどうなるのか、どう言う世界を作るのかとても楽しみであり大いに期待しています。
教授・加藤 良造
- 作品名飛び込むには寒すぎる
- 作家名荒井 颯子
- 作品情報素材・技法:岩絵具、水干絵具、銀箔、高知麻紙
サイズ:H1948×W2738mm - 学科・専攻・コース
- カテゴリー