異星人の冬

作者によるコメント

静岡県のとある町。この町に久々に大雪が降った。
男と女それぞれが抱えるかなしみとその理由。冬の町で起きた誰も知らないお話。

担当教員によるコメント

何気にさえないおじさんと、ぬいぐるみ偏愛のおねえさんと、地球に落っこちてきた宇宙人の織りなす絶妙なストーリー。城所晴はいつも予想だにしない方向から物語を突きつけてくる。惑星やお山の壮大な歴史物語から、イタズラ好きの魔法使いの失敗譚など。作品ごとにその設定やスケールやキャラクターなども多種多様だが、どの作品もほっこりとしたユーモアに溢れ、軽やかに物語に引き込み、ラストで唸らせてくれる。本作は、おじさんと宇宙人との奇妙な友情を軸に、おねえさん、イチゴ頭の少年が絡んだ不思議なSFミステリーで、的確な描写によって物語が紐解かれていく。そしてラストのなんとも言えない余韻…。毎回独創的な物語で未知なる世界を見せてくれる彼の次回作が今から楽しみだ！

教授・野村 辰寿