human errors
柴田 紗貴
作者によるコメント
これはさだめか。ヒトは効率の世で生かされていて、放っておくと悪い不具合が発生する。だけどヒトには、素的なエラーがあるのさ。それは一見、無駄に思えるモノだったりしてね。日々のよろこびは、不合理を愛してるからって気がする。「生きよう」っていうのは、孤独な奴が気まぐれに、心を晴らしてるセンスかも。この世界のプログラムに、素的なエラー。
不健康、焦り、ストレス、ヒトは諦めのような社会で生かされていることに気づいている。それでも日々の瞬間によろこびを感じ、風情を求めて生きていこうとする。“human error”という用語を調べていくうちにそんな解釈が形成されていき、最終的にヒトを50のイラストレーションで表現しました。生活の素と余白を見つめる日本人らしい感覚を発見できたように思います。みなさん、ありがとう。
担当教員によるコメント
作者の柴田は些細な物事に美や喜びを見出してしまう人間の不合理な感性に着目し、それを〈素敵なエラー〉であると捉えた。本作は「裸足で草に触れる」「水たまりの上を自転車でシャーッと走る」など、一人でいる時にこそより豊かに鮮明に感じとることができる世界を丁寧に描き起こすことで、人間の奥底にある無垢で柔らかな感性を肯定しようとした小品群である。表現は大正・昭和期の挿絵画家小村雪岱を参照しつつ、独自の試行から得たスパッタリングや色つきのトレーシングペーパーの重なりを組み合わせたものだ。吟味されたシェイプと柔らかなグラデーションが瑞々しく詩情を醸し、テーマ設定と追求された奥行きのある表現が心地よい調和を見せている。
非常勤講師・柏 大輔
- 作品名human errors
- 作家名柴田 紗貴
- 作品情報イラストレーション
技法・素材:スパッタリング、絵具、カラートレーシングペーパー、クロマティコ
サイズ:H257×W364mm(50点) - 学科・専攻・コース
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