figure wear

関口 郁海

作者によるコメント

感情を身に纏う。

人はだれしも裏表がある。 
嫌だと思うことがあっても、飲み込んで自分の機嫌を表には出さないで人とうまく関わろうとしたり、自分の意見があるけど、言えず、心の中で自分自身と葛藤したり。
裏表があることはよくないことだと、表に出すことはなく心の中に隠しておく。
その感情はどこへおけばいいのだろうか。

作品をそのままをみると平面的な図形だが、人が介することで立体的な服に変化する形の二面性で人の裏表を表現し、可視化した。
図形の一つ一つは感情を表した形になっていて、身に纏うことができる。

担当教員によるコメント

関口郁海は一貫して幾何的なフォルムを軸に、網点・粒子を使用した視覚的な質感を醸し出す独自の表現を開発し、主に平面的なメディアに展開してきた。本卒業制作で関口はこの研究を土台に個性豊かな身に纏うグラフィックへと昇華させた。この作品群は、空間に浮遊し、あるいは顔はめパネルのように他者の視点で成立し、あるいは身に纏うことができるグラフィックであり、平面性を保持しつつも空間的であり、立体的であるという2.5次元的な性質をもつ。四角い矩形から解き放たれたこれらのグラフィックは平面から立ちあがり、空間に自在に浮遊する自由さを纏い、他者の介在をも許す。これらの作品群は時代に相応しいグラフィックデザインの新たな可能性の一面を覗かせてくれている。

准教授・加藤 勝也