もとに還す
阿部 菜々美
作者によるコメント
四角い木材から木の姿を削り、 セメントで石灰岩の塊を作り、 ガラスを砕いて珪砂の姿を表現する。 もとの姿に還すという行為のなかで、 自然物としての姿と素材としての姿が混ざり合い、モノの存在が曖昧になる感覚があった。
担当教員によるコメント
阿部は作品を通して現実とイメージが交差する曖昧な抽象世界とその世界を包む静かな空気を具体化させようとしている。そこに表現された具体物のかたちやテクスチャは人工物のイメージと自然物のイメージを繋ぐ。人はこの作品を目の前にして、対峙する世界や営みについて静かに向き合い始める。目の前の真実を見ながら思考の世界に入り始める。削られた木肌、型枠の段差、細かなガラスの粒子の質感が人を現実世界に引き止める。静謐な時間を纏う作品である。
教授・深澤 直人、教授・長崎 綱雄
- 作品名もとに還す
- 作家名阿部 菜々美
- 作品情報彫刻
技法・素材:素材=木材(木曽檜)、セメント、ガラス/技法=彫刻、成型
サイズ:H140×W700×D400mm(1点)/H300×W400×D320mm(1点) - 学科・専攻・コース
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