鏡越しの虚像

土戸 梓

担当教員によるコメント

私達は服を着た自分の姿をいつも鏡に映して見ている。この当たり前の行いに注目しデザインのきっかけとした所が実に土戸さんらしく魅力的である。独自のアイデアと感性を切り口に詩的で有りながら強く印象に残るテキスタイルデザインによってシリーズを完成させた。鏡像文字をプリントパターンにうまく埋め込み、錯視効果でモチーフとそれが持つ意味を絡ませて遊ぶ。近づいて見ないと分からないディティールや、しばらく見つけて初めて気づく仕掛けが散りばめられ、我々の目を楽しませてくれる。服の形や色をあえて控えめにまとめる事により、この作品におけるテーマ性を一層際立たせている。デザインに対する独特な視点を持つ土戸さんの今後の仕事にも是非期待したい。

講師・吉川 真由