科学者との対話I:制御できること、制御できないことについて/あそび
貝吹 千宙
作者によるコメント
いま
そらと だいちの あいだで
たまたま思考ができる原子のかたまりが
呼吸を繰り返している。
みちみちと。
呼吸を繰り返し、思い出している。
みちみちと。 そのうつわで
原子よ、わたしよ、あなたよ、
色よ、かたちよ、
かつて交わしたはずの
思い出せないことばたちよ
名前を失ってもなお残るものよ
痕跡となれ
担当教員によるコメント
多くの人はある種の思い込みとして、絵画を意味あるもの(物語的)としか解釈せず、またその逆として意味(言語)が介在しない無分節な楽土な世界を絵画に求めようとする。貝吹さんの絵画は、そのような幻想めいたものではない。貝吹さんの、科学者との対話によって描かれた絵画(両面に描かれ天井から吊られた絵画)は、その対話が画面上に意味あるものとして立ち現れることを目的としているわけではない。意味を必要としつつも、意味が消えてもなおそこに存在し続けるものを描こうとしているのではないか。それは意味だけで存在するのではなく、また無意味だけで存在するのでもない。形がありつつ形を持たないもの、例えば意味と無意味の同時性、光、音、原子を想起させるのである。
教授・栗原 一成
- 作品名科学者との対話I:制御できること、制御できないことについて/あそび
- 作家名貝吹 千宙
- 素材・技法石膏、油彩、オイルパステル、色鉛筆/ミクストメディア
- サイズ1620×1620mm/可変
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員