思い出したから、/日記の空白の時間が、空白じゃなかったかもしれないような
佐藤 らら
作者によるコメント
絵を描いている時間より、絵の前に立ってボーッと考えごとをする時間のほうが多かった気がする。
普段の生活の意識とはまた別の意識のことを思い続けていると、画面の中に意識が出入り出来ていると思い込む瞬間があった。
それは気の遠くなる出来事で、気の遠くなる瞬間なのだけど、私は多分、気を遠くに、遠足させたい。知らない景色が見れるから。
担当教員によるコメント
オペラカーテンのように重なる木々からは、深く根が伸びて湿った地中が描かれる。並んで立つ一人の前方には雪か粉塵とかが舞い降りて、白い盾のようなものが画中での気圧を変化させ、その身体は溶けて消え入りそうだ。
これまでも炎やオオカミ、ヘビなどの動物が繰り返し描かれてきたが、野生が放つ強い色彩と筆跡は、どこか遠い惑星の出来事だろうか?容易く私達を招き入れてはくれない。その細長い人のかたちは、隣の彼とか彼女などではなく、なんというか、あの世の、もしくは天上界の住人に見下ろされるような大らかな感覚を呼び起こさせる。「絵に覆われたい」と言っていた彼女はついに4メートル近い大きなキャンバスを描き上げ、トンネルの向こう側へと疾走して行った。作者の荒ぶる息吹を私は未だ知らないでいるだけかもしれない。
教授・村瀬 恭子
- 作品名思い出したから、/日記の空白の時間が、空白じゃなかったかもしれないような
- 作家名佐藤 らら
- 素材・技法パネル、油彩/ミクストメディア
- サイズ1455×970mm/2590×3880mm
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員