光の庭
畑山 樹
作者によるコメント
庭は遠くの土地から風に乗ってやって来た種を受けいれて花を咲かせ、家の一部として人を守り安心させる空間である。絶えず外の社会とつながりながら人の内面の精神世界の一部として存在し、そこには多様な命が共存している。その一つ一つの命が瞬く光のように美しくすべての命が平等で神秘的である。このような庭への着想から今はない祖父母の家の庭についての母へのインタビューとウィリアム・サローヤンの小説『冬を越したハチドリ』をもとに映像とドローイングからなるインスタレーション作品を制作した。厳しい社会からのシェルターでもあり、同時に従来の既存の固定概念から自らを解放し、明日をより自由に生きていくために知識や経験をシェアする場である。
担当教員によるコメント
電車の中で座っているとき、あるいは道を歩いているとき、ふと、ここはどこなのだろうか、なぜ私はここにいるのだろうか、という想いにとらわれることがある。
いまこの瞬間にも、膨大な年月を経てここ眼前にある事象と私たちは向き合っている。そのようなことを、幼稚園の発表会のような屈託のなさで、蜜蜂のような軽やかな素振りで、草の芽吹きのような決断力で、畑山樹の作品は気づかせてくれる。きわめて個人的でありながらノスタルジックではなく、ドラマチックでありながら声高ではなく、まっすぐな眼差しで語りかけてくるその誠実な表現を前に、私は自問する。私は自分とどれだけ向き合ってきただろうか。自分とは何者なのだろうか。
教授・吉澤 美香
- 作品名光の庭
- 作家名畑山 樹
- 素材・技法ミクストメディア
- サイズ可変
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員