Banaue,26/Shibuya,26
山田 大輝
作者によるコメント
写真製版では通常CMYKの4色で構成されています。この作品では、4色ではなく色数を写真から自ら選択して26色に増やしています。
網点が重なり合うとモアレが起こります。色数を増やすことで重なり合う色が複雑になり、モアレの模様性が強まります。作品にはこの模様も構成の一部として扱っています。
デジタルの作業でできたものがアナログな作業であるシルクスクリーンに置き換わることで、インクの重なりや厚みが生まれ物質性が増します。
写真としての表現に加え、版画の性質、絵画の性質を落とし込んだ作品です。
担当教員によるコメント
山田大輝の作品は写真イメージを網点に置き換える。一般的な写真製版による印刷物は、カラー写真を基本四原色に色分解し、網点に置き換えて印刷されているが、網点(線数)が小さいため、その原理は肉眼では認知しがたい。しかし、ルーペで拡大してみればよい。印刷物が網点で成っているのがすぐに理解され、紙に印刷された網点の物質性が荒々しく現れてくる。この荒々しさを創出するために、彼は異なる線数の網点を導入し、そして網点の重なりによるモアレ現象を故意に起こすことで一般的な写真製版のシステムに負荷、ズレを無理やり与えていく。彼の作品は技巧的な組み立てが緻密であるため、そこに評価が行きがちであるが、この網点の荒々しさに日常の風景を重ねることで、その風景の意味を瓦解させ、別のイメージへの広がりに繋げようとしているのだ。そこに山田の今後の展開における基点が見えてくるだろう。
教授・大島 成己
- 作品名Banaue,26/Shibuya,26
- 作家名山田 大輝
- 素材・技法シルクスクリーン
- サイズBanaue,26=H685×W1046mm
Shibuya,26=H787×W1396mm - 学科・専攻・コース
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- 担当教員