歩いてみよう。
加藤 一真
作者によるコメント
自分はこの4年間、基礎的なデッサン力の向上や人体構造の理解など技術的な能力の向上を目指してきました。ですがいざ美大というものに入学してみると、作品を作るということはそれだけではまったく「要素」が足りないということに気がつきました。そして、この卒業制作である「歩いてみよう。」においてやっとその一端を掴めたような感覚があります。
この作品は挑戦してみるという行為のスタートの部分、つまり自分がやりたいこと、はたまたやらなければならないことを始めようとするその心中を、歩き始めようとするという動作に当てはめて表現したものです。この卒業制作で写実の動きに意味を持たせるという自分のコンセプトのようなものを掴むことができたような気がします。この成果を次に繋げたいと切に思います。
担当教員によるコメント
とにかく技術を上げないと闘えない、作品と呼べるのはその後だーー加藤はそんな認識を入学時から持っていた。アカデミックに見える本作だが、過去作品(家族をモデルとし、シンメトリーの構図で作っていた)にはなかった、加藤なりの挑戦がある。人体彫刻はとかく「似ている・似ていない」で判断されがちだが、加藤が本作で腐心したのは「造形としてちゃんと流れている」こと。はじめてモデルなしで作ったという本作は、いわば加藤の概念が形になったものであり、モデルの外形をなぞったものではない。具象でありながら、なににも似ていない、そんな地平を感じさせる秀作である。(ちなみに加藤のバランスへの配慮は作品に限ったことではなく、人との関係の中にも見てとれる)
教授・高嶺 格
- 作品名歩いてみよう。
- 作家名加藤 一真
- 素材・技法楠
- サイズH1850×W750×650mm
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員