柴田 萌音

作者によるコメント

水のきらめきや街の明かりを見ると、どこか懐かしく、幸せな感覚を覚える。
そのような光を纏い持ち歩きたいという思いから傘を制作した。光があたったとき、布の表と裏の色と形が重なり合い、よりきれいに見えるように両面プリントを施した。

担当教員によるコメント

「光」と題する卒業制作のモチーフは「街の明かり」と「水のきらめき」である。柴田さんはシルクスクリーン技法により、色とかたちで「街」や「水」の視覚的なイメージを表すだけでなく、その匂いや音、触感までも伝える作品を2点制作した。なぜ複数の感覚を刺激するポリフォニックな作品になったかというと、その理由は一枚の布の両面にイメージを施したことにあると思う。両面から別々のイメージをプリントすることで視覚主体の一元的な捉え方から、さまざまな感覚を働かせて多角的に鑑賞できる作品へと変化させたのである。布の両面性を生かし、反射と透過両方の光を感じることができる傘に仕立て上げたという点も当を得ていると思える。結果、知性と直感による大変優れた作品が誕生した。

教授・柏木 弘