The Look

パク ギュミン

作者によるコメント

人種差別やいじめで密かに行われる不気味な行為をテーマに、特にちらっと見る不気味な視線をコンセプトに作った作品です。
人の視線を感じられるフィギュアを多数製作し、観客が歩きながら眺める感じを感じられるように配置しました。
また、設置する場所によって固定された位置ではなく、観客の移動動線や行動、視線を考慮し、展示ごとに異なる形で作品を配置しています。

担当教員によるコメント

所在なくそれぞれのポーズでたたずむ人形が10体配置されたインスタレーション作品である。真っ白な人形は3Dプリンタの出力による造形で、ワイヤーフレームによる面の組み合わせが見え、無機的なたたずまいが強調される。それらには立体イリュージョンの仕掛けが施され、鑑賞者の移動にともなって眼球が追いかけてくる。人形たちがたむろする小さなコミュニティの前に他者が遭遇したとき、そこはかとない疎外感を感じることになるだろう。それは留学生である作者が日本を訪れて感じたことかもしれないし、幼少期の想い出であるかもしれない。事件にならない些細な入り口のところでの微妙な人間関係を表現するとき、彼の3Dプリンタを用いた表現が、今の若者の等身大の事情を反映しているように思えてならない。

教授・森脇 裕之