Shape of Tension

カクヨウキ

作品解説

物の相互作用で、外部の環境と物の内部の力が均衡する状態が美しいと感じた。外圧による変形、引っ張られる張力から新しい表情が生まれる。そこから、身近な素材の性質を活かし、「均衡の形」をテーマに作品を制作した。物が普段見えない姿や論理化できない形、潜んでいる張力の魅力を表現した。

作者によるコメント

物の色や形、持つ力などの性質がそれぞれ独自のキャラクターを感じた。私は常に物の偶然な組み合わせやその可愛らしさを見つけることを楽しんでいる。
人工物が人の手から離れて、空間の中で安定して存在しているのが不思議だと感じた。この作品は、梱包用の結束バンドが伸びたり、使い捨て箸が折れたり、スポンジが握られたりする瞬間の緊張感をとどめ、それらの変形したかたちに人とモノとの関係性が示している。それらが物の相互作用によって新たな風景が生まれ、物の新しい可能性を表現した。

担当教員によるコメント

グラフィックが得意で、色やカタチの組み合わせに独自の鋭い感覚をもった学生だった。
卒業制作は、自らが「いいな」と思えるカタチや色を身の周りから採集し、
そのモノどうしの組み合わせの妙によってグラフィック作品へと昇華させていく作業だった。
集められたのはホースや風船、紐、釘、テープ、木材など、なんの変哲もないモノたち。
ところが彼女がそれを組み合わせるとPOPでクールな不思議な世界が広がっていった。
途中自分が作っているモノの意味をつかめなっくなった時間もあったが、
それも含めて彼女の作品は卒業制作展までずっと進化し続けた。
卒業制作展までの道のりも彼女の作品であり、これからもきっとこの試みが続いていくことを期待している。

教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健