あいまいなものたち
福原 舞弥
作品解説
私たちの眼には、視力や距離の関係でものをぼやけて見せる力があるが、ぼやけて見える対象自体は明確な形を持って存在している。本来は存在していない、不明瞭であいまいなシルエットを立体物として現実に存在させられないかと考えた。
協賛:泰豊トレーディング株式会社
作者によるコメント
線と密度を利用してあいまいさを表現しました。
この作品は作品ひとつにつき2560本のステンレスバネ線が挿さっています。まとめて切る事ができないため、中心の球に一本挿して、切る、また挿して、切る…を本数分繰り返して制作しました。
幼い頃から地道な手作業とそこから得られる達成感が好きだったため、この作品を通して自分の物作りの原点に還れたと感じています。
担当教員によるコメント
アイデアは最初から明確だった。輪郭がボケて、それが空間や向こう側に透過して物体感が溶けていく感じ。
2次元では「ボケる」という表現を作れても、焦点が合ってしまえば目につかまって3次元で物体は「ボケない」。
そのイメージは、福良はさんがラフを持ってきた時から明確だったし、私達も出来上がりにワクワクした。
しかし、ここからが大変だった。どうやったら中心から四方にきれいに針が広がっているように見えるのか?
何千もの針が曲がらないように放射するには?その針の輪郭をどうやってカットする?
そもそも、均等になるための造形の設計をどう考えるのか?どんな素材?着色は?
最初は全くうまくいかなかったこの試作が、彼女の試行錯誤と丁寧な仕事、頑張りによって
頭の中でイメージしていた「モノが空間と美しく溶け合っている姿」を実現させた。
教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健
- 作品名あいまいなものたち
- 作家名福原 舞弥
- 素材・技法ステンレスバネ線、レジン、光造形3Dプリンター出力
- サイズ洋梨=H140×W85×D90mm/トマト=H45×W40×D40mm/パプリカ=H150×W95×D100mm/りんご=H120×W110×D110mm
- ジャンル立体
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