印刷物の密度

森 ひかる

作品解説

印刷物の紙自体が集まった密度と、紙面のインクの密度に着目して制作しました。新聞・週刊少年誌・文庫本の3種類を加工しました。裁断方向や木枠への敷き詰め方を変えることにより、印刷物の新たな見方を表現しています。また、新聞の断面にインクを付けて版画を制作しました。

作者によるコメント

新聞は44mmに裁断し、ボンドを背面に付けて下から順に積み上げています。ジャンプは上下の段を歪ませて固定してから、中段の長さを切って調整しています。文庫本は縦と横の2方向に裁断し切り口の違いを強調したものと、ページをずらして接着し、インクの密度を表現したものを製作しました。
迷いながらの制作でしたが、楽しかったです。ありがとうございました。

担当教員によるコメント

森は森の中で静かに佇んでいるような、とても頑固で強い意志をもったアーティストだ。誰よりもこだわりが強い。
アドバイスをいっても森は意味を咀嚼できないと全く手を動かさない。「とりあえずやってみます」は皆無な人だ。かっこいいぜ。
教員のコメントの中から気になったワードを注意深く抽出し、人知れず完成度をあげて持ってくる。そういう職人気質な人だ。
3年の最初の課題から発想のセンスがまったく他の人と違っていたが定着の技術とのバランスがまだとれてなかった。
そのときから「素材感」「質感」に注視していたように思う。卒制は新聞、文庫本、漫画誌などの断面を地層のように積み上げた作品だ。 
層状の美しさとそれが崩れたときの弛緩の美の追求だ。統合デザイン学科に脈々とある「モノ派」的アプローチとはまた違う極めかたである。
森は4年になると発想と定着とのバランスがよくなった(頭に手が追いついてきたんだと思う)。JAGDA国際学生ポスターアワードではグランプリと銀賞をダブル受賞。
すごいぞ。卒制もその完成度でINTEGRATED SILVER受賞、おめでとう。世界で評価されるものを作っていける人だと思う。志高くデザイン界の大谷でいこう。

教授・佐野 研二郎、非常勤講師・榮 良太、非常勤講師・小杉 幸一

  • 作品名
    印刷物の密度
  • 作家名
    森 ひかる
  • 素材・技法
    新聞、週刊少年誌、文庫本、木材、水溶性絵の具
  • サイズ
    新聞=H1630×W830×D55mm/週刊少年誌=H730×W730×D55mm/文庫本 1=H182×W1230×D55mm/文庫本 2=H182×W1230×D55mm/版画=H545×W405×D1mm
  • ジャンル
    素材研究
  • 学科・専攻・コース