beyond fabric
加藤 美波
作品解説
プリントを施した布にプリーツ加工をし、その上から別の色を重ねました。生地にかかるテンションを変化させると、折り込まれている面が見え隠れします。この動的な布で、自然・生物が色や形を変化させる様子を抽象的に表現できないか試みました。
作者によるコメント
「一枚の布が生き物のように動く」ことを実現する為に試行錯誤してきました。
この表現はプリーツの加工方法、テンションの掛け方、動かす速度を変えること、耐久性の問題などまだまだ追求するべき部分があります。
これで終わりにせず、今後も制作を続けていきたいと思います。
お手伝いや助言をくださったみなさん、ありがとうございました。
担当教員によるコメント
加藤はいつも笑っている。大変なことはたくさんあるだろうけど、そういう感じをだすのが嫌いなのか、本質が朗らかな人なのか、いつも笑っている。
優秀な人が持っている頑固さはもちろんあるが、怒らず、嘆かず、いつも微笑んでいる。授業はほぼ皆勤賞、課題は150%さらりと提出。
どんな状況でも、ポジに跳ね返し、時間を守るのは物事を俯瞰して見れているからだと思う。時間管理もデザインの1つだ。
ある課題では普通1案を仕上げるところ、3案も大きく展開したものを出してきて驚いた。時間を守るどころか作品の密度まであるという。こりゃ、普通の人はかなわない!
卒制はプリーツだ。デザイナーの大先輩である三宅一生さんや吉岡徳仁さんのパリのカルティエ財団でのすごい展示も記憶に新しい。先人達の名作と比べられてしまうためハードルが高い分野だがニコニコしながら「やってみたいんです」。プリーツのパターンも自分で設計。業者に頼んでビシッとプリーツ加工してもらった。
展示には伸縮の動きを加えた。大小様々な形態を動かした。その動きは細胞や植物や動物のようですこし気味が悪くも、美しくもある。
まさに生命を感じるものになった。機構も研究し、展示台も丁寧につくったが展示初日に故障した。
動く作品に見えないのはもったいないので「動いてる映像もつくったら?」といったら2日ですごい完成度の高い映像をつくってきて思わず笑ってしまった。
すごいバイタリティーだ。「あきらめたらそこでデザイン終了ですから」と微笑む。かっこいいなあ。加藤には、もう教えることなんてない。
こっちが教わるだけだ。3年生でJAGDA国際学生ポスターアワードでグランプリ、そして毎日広告デザイン賞の学生賞を受賞。
頭角を早くから表していたが、決して楽な道のりじゃなかったのを知っている。でもそんなそぶりはなく、笑っている。
卒業したら大手広告代理店Dのアートディレクターになるが、カラフルでハッピーなデザインを武器に、曇りがちなクリエイティブ界の霧をはらしてくれるだろう。
デザインで、美しい波をたててくれ。加藤美波。この名前は覚えておいた方がいいと思う。卒制TOP22、おめでとう。やったね。
教授・佐野 研二郎、非常勤講師・榮 良太、非常勤講師・小杉 幸一
- 作品名beyond fabric
- 作家名加藤 美波
- 素材・技法布、モーター、テグス
- サイズ1800×1800×370mm/2400×1800×250mm/1200×1800×450/3600×500×1800mm
- ジャンルインスタレーション
- 学科・専攻・コース
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