Image Haze

津浦 彩京

作品解説

写真の物質性について探求しました。写真はインクと印画紙で構成されています。そのインクを有機溶剤で溶かし、擦る事で生まれるマチエルを用いた写真作品を制作しました。「写真は現実を写したもの」という認識から、一度紙に定着したインクを上記の操作で再配置することによって、写真自体の物質性を感じることが出来ます。

作者によるコメント

これからも、驕らず地道に出来ることに全力を尽くして真摯に制作をしていこうと思います。

担当教員によるコメント

自ら撮影した写真を、印刷インクが分布した一種の絵の具のパレットのように捉え直し、絵筆のような手捌きでそこに再介入する。
撮影したイメージを後から再編集する、というデジタルイメージングの典型的なプロセスが、物質のレイヤーでアナログ的な美学をともなって行なわれているところに、既知と未知が同居した独特の魅力を感じる。デジタル時代を経た、メディアの物質性に対する新たな感性を予感させる意欲的な作品である。

教授・中村 勇吾