プシュケ

小川 泰史

作者によるコメント

僕の内にある庭とあなたの庭とがきっと、地続きの同じ地面の上のものであると、僕は信じるばかりです。
あなたがどのような花を植えるのか、僕の預かり知らないことですが、その地面の土について僕はよくわかります。
ですから、あなたの花が美しいものであることを僕はどんなに願うかわかりません。

担当教員によるコメント

ある日、小川はいのちを描いてみたいと伝えてきた。わたしも見てみたいと思った。わたしにはいのちの姿というものは分からないが、人々の中に共有できるイメージがあるようにも感じる。身体を超える大きなサイズの紙に鉛筆で線を描くことを決め、リズムや動きや時間や秩序の描写に長い時間をかけて取り組んだ。深く潜るように息を止め、鉛筆の先から少しずつ描かれる線の滑らかさの集合は単純に見えるが簡単ではないことが分かる。増殖、反復、分裂、過去、未来、今。描かれた線は決して動かないが作品たちの中で何かが活動している気がする。わたしにはいのちの姿は分からないが小川の描いた線の姿にいのちを感じているのかもしれない。

教授・長崎 綱雄