脈拍
高山 芳の
作者によるコメント
創作もまた反復の中にあること。いつか忘れてしまわないように、これからもつくりつづけます。
担当教員によるコメント
新しい領域(フォーマット、表現手法)を切り拓くためには、単に考え方を提示するだけではなく質の高い具体的な事例も合わせて提示する必要がある。考え方と質の高い事例がセットで世に示されることによって、誰も構想したことのない新しい領域が意義あるものとして理解され、人々の間に共有されていくことになる。
高山は気が遠くなるほどの膨大な試行錯誤を積み重ねることによって、周期性と装置の関係から、私たち自身が動的なシステムに触れたときに無意識に感じてしまう慈しみや、世界そのものに対する秩序を感じ取る新たな視点の提示に到達した。「ずっと見ていられる」という言葉はよく動きを伴う作品に対する評価として使われる言葉だが、その言葉の裏には「常にその動きを理解するためのプロセスが完了しない(ために理解するためにずっと見続ける必要がある)」ということが起きているのではないかと思う。
今の社会は、即座に理解することを是とする価値観に溢れている。しかし本当はこの世界は、大変に豊かで複雑で人間が一瞬で理解できるようなものではない。高山は作品を作りそれを示すことを通じて、その世界の豊かさと複雑さの一端にどうにか触れ、アクセスしようとしている。その壮大なチャレンジの先に何が起きるのか、楽しみに待っていたい。
教授・菅 俊一
- 作品名脈拍
- 作家名高山 芳の
- 素材・技法モーター、電池、金属、木材、磁石
- サイズ1350×3600×900mm
- ジャンルキネティックアート
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー








