価値が巡る、縁が紡ぐ
中村 佳也乃
作者によるコメント
この作品では、50名との物々交換を通じて、不要になったものが他者に新たな価値を見出され、再び活躍の場を得る瞬間を記録した。
交換を重ねる中で、物の循環だけでなく、友人との再会や見知らぬ人との出会いといった、新たな縁が生まれる瞬間にも立ち会った。さらに、遠く離れた人々が私を介してつながり、物理的な距離を超えた関係が築かれる場面もあった。
こうした「交換の連鎖」が生むつながりを表現するため、映像や写真に加え、展示には赤い糸を用いた。
赤い糸は運命のつながりを象徴するものとして知られているが、ここでは交換によって生まれる特別な関係を視覚化している。糸の長さは実際の交換相手との距離を反映しており、鑑賞者は歩きながら交換の距離感を疑似体験できる仕組みになっている。
担当教員によるコメント
中村さんが演習課題で試みていたのは「わらしべ長者」でコミュニティ形成プロセスを可視化することだった。さらに卒業制作ではふたつの工夫がなされた。ひとつは物々交換のスタート時から最終ゴールまで持ち回った様子をタイムラプス動画で記録したことである。交換に応じてくれた人と人のあいだを行き来した本人の軌跡がつぶさに記録されている。もうひとつは交換した品々の写真パネルを赤い糸でつないだことである。つながりの赤い糸という昔ながらのフレーズに執着し、糸の長さでそれぞれの位置関係を視覚的に表した。人と直接関わりあうところにこだわり、つながりの実感をいかに生み出すかということに挑戦していた。今のメディア時代における質的な実感覚について、この作品は重要な指摘をしている。
教授・森脇 裕之
- 作品名価値が巡る、縁が紡ぐ
- 作家名中村 佳也乃
- 素材・技法アルミパイプ、レーヨン紐、MDF(フォトフレーム)
- サイズサイズ可変
- ジャンルインスタレーション
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員