Live

内藤 ひより

作者によるコメント

自分は幼い頃から死に対しての恐怖が強かった。
命とは、あっけなく脆いものだと思っていたからだ。
しかし、一度食事も動くこともできないという経験を乗り越えた今は、命とは儚いものではなく、尊くて有難いものだと思っている。
そんな経験をした自分だからこそできる生命への畏敬の念を表現した。

担当教員によるコメント

病気により入院、療養を経験した内藤さんは、その期間に考えた身体・生命・死などをテーマに卒業制作の題名を「Live」と設定しシルクスクリーン技法を用いたプリントテキスタイル作品を5点制作した。自分の身体とは、日常的に鏡に映して視覚的に認識できる部分だけではない。普段は手や顔ほど意識しないが、目には見えない箇所や内臓もまた自分の身体の一部なのである。手術などで治療した箇所が身体の内部で回復していく様子を感じる時に人は内側も外側もない自分の身体を全体として捉え、生命の尊さを感じるのではないだろうか。
ともあれ、内藤さんの作品は美しい。経験をもとに選び出したモチーフ、色彩、リピートが大胆に組み合わされ多様な要素に統一を与えた力作が誕生した。

教授・柏木 弘