movement

飯塚 玲南

作者によるコメント

衣服は第二の皮膚とも呼ばれ、身体と密接に関わりを持つ。
人は誰もが違う特徴や動き、働きをもつ身体そのものを纏っており、皮膚そのものが衣服ともなりうるのではないか。
人の体は容易に変えることはできない。
衣服が皮膚となり、皮膚が衣服となり身体に纏う布を一本の糸から構築し表現した。
身体の多様性の素晴らしさや、着る人見る人が自分にはない身体を手に入れられるような感覚を味わってもらいたい。

担当教員によるコメント

飯塚さんが創る織技法によるテキスタイルは、屈指の技術を兼ね備え、クオリティー高く優雅で美しい。キーワードの「衣服は第二の皮膚である」とは、衣服は皮膚の拡張であり身体の外表面をより直接に拡張するものだとマーシャル・マクルーハンが著書で述べ、時に衣服に関連する場面で引用されることばである。飯塚さんは身体、皮膚と衣服について考察し導き出した織りと編みによる複合的構造と拡張的要素を感じさせる大胆な衣服デザインにも挑戦した。織組織と衣服構造を相互的に構築し衣服デザインへと昇華させたプロセスは精緻を極めた。「織りなす」とは糸を織り上げ、美しい優れた織物を作ることの他、「複数の細かい要素を組み合わせ、優れた全体像を成すさま」という比喩的表現がある。正に「織りなす」という言葉に匹敵する秀逸した創作表現である。

教授・平塚 聖子