ジュエリーとしてのスカーフ ー秩父銘仙を未来につなぐー
設楽 奈々葉
作者によるコメント
卒業制作の構想を練る中で、曾祖父が秩父銘仙の発展に尽くしたことを詳しく知った。その家業はすでに途絶え、現在、秩父で後継者も減少している。私は、奇抜な配色、独特の美しさ、艶々の玉虫効果は宝石のように美しい、この伝統織物を未来に繋ぎたいと考えた。私のルーツに思いを馳せながら、宝石と秩父に纏わるモチーフを風変わりに構成し、秩父銘仙を人々に伝えたるメッセージを込めて、ジュエリーのように身につけるスカーフに織り上げた。
担当教員によるコメント
設楽さんは卒業制作に迷う中、曽祖父の家業である秩父銘仙に着目する。銘仙の特徴は、はじめに経糸に模様を染めて織り、解いて再び織る「ほぐし織」にある。その多彩で大胆な柄行きの魅力をスカーフに託し、秩父の夜祭や伝説の狼、蚕や幾何学模様などを組み合わせデザインした。その模様を鮮明に織り上げるためには高度な手わざが必要で、難しい制作とわかっていたが、4年間で身についた集中力と真摯に取り組む力で乗り切った。さらりとそこにある絹織物は、相当な努力に裏打ちされている。設楽さんは大学入学前に先祖の仕事は知らなかった。見えない糸でルーツに繋がり背中を押され、銘仙スカーフが見事に完成した。ここから未来へ、ものづくりへの情熱を絶やさずに進んでほしいと願っている。
教授・川井 由夏
- 作品名ジュエリーとしてのスカーフ ー秩父銘仙を未来につなぐー
- 作家名設楽 奈々葉
- 素材・技法素材:絹糸/技法:ほぐし絣、シルクスクリーンプリント
- サイズH900×W900mm(4点)
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員