渋谷交差点図

星野 倫

作者によるコメント

コンセプトは「卒展で見て楽しめる絵」とし、自らが最後の課題として適切だと思える作品を目指しました。
作品としての「公」と趣味としての「私」の二つを交差させるため、万人に伝わるモチーフとして渋谷を選ぶことで「公」の面を、私が気に入った人間のみを描くことで「私」の面を満たしています。

応援している芸人の方々が多数登場しており、私的なファンアートとも取れる本作がこのような場所に選ばれたのは意外でした。
細かな話は色々ありますが、全ては描く許可をくださり、展示も見にきてくださった素敵で怖い漫才師「テキセツの街」おふたりのおかげです。

担当教員によるコメント

星野倫の作品が持つ最大の魅力は、歯車が噛み合ったときに発揮される驚異的な集中力にある。本作では、まさに再開発が進む渋谷の街並みを見るかのような圧倒的な情報量を生み出し、活気と混沌が入り混じる渋谷のスクランブル交差点を描き出している。そこを行き交う360人の通行人一人一人には背景が設定されていて、キャラクターとは単なる記号ではなく「性格」であることを示唆している。その本質を見抜こうとする視点の鋭さに清々しさを感じる。視覚情報が多層的に絡み合い、都市の匿名性と個の存在感が交錯する様を、見事に作品として昇華させている。

准教授・高橋 庸平