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増田 葉月

作者によるコメント

人間の顔は具象であり抽象です。その狭間から見出されるフォルムに想いを馳せ、模索し、表現しました。

担当教員によるコメント

階調のない黒一色のフォルムによる、ポートレイトの連作。いやむしろ、ポートレイトを素材にして作り上げられたフォルムそのものが作品である、と言うべきだろうか。そんなふうに具象と抽象のあいだを揺れ動く感覚が、この連作の魅力でもある。いずれにせよ、単なるフォルムだけの、こんなシンプルな表現で、これほど豊かな世界を作り得たということに驚かされる。制作のプロセスとしては、まずは階調のある表現技法によって肖像画を描き、出来上がったそれぞれの絵の濃淡や構図の特性を見定めながら、光を白く飛ばし影を黒く塗りつぶしていったということだ。そうして生まれたフォルムは、それぞれに複雑さを内包している。連作である必然性も強い。いつまでも見続けていたくなる。

教授・服部 一成