ドクドク、ザーザー、カタカタ、その他もろもろ
宮本 綾花
作者によるコメント
エンタメ的に見る人が温かい気持ちになり、力の湧くような絵を作りたいと思いながら制作しました。
多摩美術大学の日本画専攻に入学して4年間、美術作品に私は何を求めているのかを考えてきて、私は美術作品から元気をもらいたいことに気づきました。
このように感情を呼び起こすことをエンターテイメントと言うらしく、そこで今回エンタメ的な絵を制作しました。
モチーフに布団の上に寝っ転がった体勢で見える視界を描きました。
手前には腕、その奥の右にある緑のものは両膝です。
写実的に描くことは私のリアリズムとは違うと感じていたので、私なりにデフォルメさせた、私なりのリアリズムを表現した作品です。
担当教員によるコメント
シンプルでありながら言葉がすぐに見つからず、一瞬戸惑いを覚える不可解な構図。絵の前でしばらく足を止める事になる。それが時間と共に晴れやかな気分に移行し、いつしかフッと笑顔がこぼれる、実にユニークな画面。観る人に喜びを与える、陽気な気配に包まれた作品であることに気付かされた。それもそのはず、作者のコメントによれば「布団の上に寝っ転がった体勢で見える視界を…」描いたという。その大胆で、どこまでも自由な発想力に驚かされる。大人になるにつれ失って行くものが増える中、宮本は歳を重ねても感度が衰えず、今も澄んだ眼差しで世界を素直に捉えているのが分かる。上手に描くだけが絵画表現ではない。むしろこの作品のように、観る人の心にほのかな灯りを灯す表現こそ、本来あるべき絵画の立ち位置と言えるのではないか。宮本は先程のコメントに続けて、「見る人が温かい気持ちになり、力の湧くような絵を作りたい」と語った、その言葉通りの作品に仕上がったと思う。
教授・武田 州左
- 作品名ドクドク、ザーザー、カタカタ、その他もろもろ
- 作家名宮本 綾花
- 素材・技法岩絵具、水干絵具、胡粉、ベニヤ板
- サイズ2700×1700mm
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員