floating, over
塩田 法子
担当教員によるコメント
物体が光を反射しているのか、そのもの自体が発光しているのか、画面の中で何かが起きている。透明感のある色彩は生まれたての泡もしくは宝石のような艶を持ち、暗闇の中で光を放っている。風景をもとに変容と再構成を繰り返して描いていた彼女の興味は、その後次第に風景でもモノでもない判別不能なものに移り、同時にテーマも“物質感”へと変わって行った。エスキースを徹底的に作り込み、そこで得た発見を大事に育てている。色・形・空間といった絵画に対して使い古された言葉ではもう言い表すことが不可能だ。彼女はキャンバス上に何かを描写するのではなく画面そのものを物質化していると言いたい。或いは絵画に対する新しい思考を生み出したとも言えよう。塩田の進化をみせつけられた思いがする。
教授・野田 裕示
- 作品名floating, over
- 作家名塩田 法子
- 作品情報『 floating 』
素材・技法:油彩、キャンバス
サイズ:H259×W194cm
『 over 』
素材・技法:油彩、キャンバス
サイズ:H162×W130cm - 学科・専攻・コース
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