デザインの意図やプロセスを言語化する力が、ものづくりの現場に活かされている
コクヨ株式会社

1905年創業のコクヨは、文具やオフィス家具などの製造・販売や空間デザイン、オフィス向け通販などを通じて、時代ごとのユーザーの課題に向きあっている。創業120周年を迎えた2025年には、コーポレートメッセージを「好奇心を人生に」に設定。「働く」「学ぶ」「暮らす」のドメインで文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造し、お客様の好奇心を刺激する企業となることを目指している。
https://www.kokuyo.com/
2026年2月更新
時代のニーズを的確にとらえ、ユーザー視点を意識した商品を生み出してほしい

長濵陽奈里さん
コクヨ株式会社
ヒューマン&カルチャー本部
HR戦略推進部 新卒採用ユニット
コクヨ株式会社は創業120周年を迎え、大きな変革期を迎えています。これまで一貫して「働く」「学ぶ」「暮らす」の3領域で事業を展開してきましたが、時代の変化とともに、これら領域はボーダレスになりつつあります。現在は従来のメーカーとしての事業に加え、「どのような未来をつくりたいか」というバックキャスト的な思考をベースに、新しいサービスや事業を広げています。また、日本国内での成功体験を活かしながらも世界共通のプロダクトやサービスを世に送り出すことを重視しています。現在はグローバルワークプレイス事業やグローバルステーショナリー事業を中心に各事業でグローバル展開を加速させ、世界中で価値を届けられる企業への進化を目指しています。
当社では多摩美出身の社員が多数活躍していますが、自分の考えを言葉にして相手に伝える力が高い方が多いと感じています。多摩美では作品講評やプレゼンテーションの機会が豊富だと伺っています。学生時代からデザインの意図や制作背景を言語化する訓練を重ねてきたことが、その力につながっているのではないでしょうか。コクヨのものづくりでは、工場や営業、技術などさまざまな立場の人と協働するため、デザイナー同士だけでなく、周囲を納得させる説明力が欠かせません。プロセスを重視し、必要性や理由を的確に伝えられる力は、商品化において大きな強みになっています。

今後もさらに期待したいのは、世の中のニーズを的確にとらえ、その時代の空気感をものづくりに落とし込むトレンド感度です。これはメーカーのデザイナーにとって欠かせない要素だと考えています。また、常にユーザー視点を意識した取り組みも重要です。社員として商品づくりに携わる中で自社商品への愛着が生まれるのは自然なことですが、コクヨの掲げる「働く」「学ぶ」「暮らす」は、社員自身も当事者として日々向き合っている領域です。実際に使う立場での違和感や気づきから独自の着眼点を見出し、それを課題解決につなげながら、価値ある商品づくりに取り組んでほしいと考えています。
ビジネスの世界では売れるものをつくることが重要であり、当然コストにも制約があります。しかし、そうした制約の中でも、柔軟な発想でアイデアを広げることは可能です。だからこそ学生時代には、自由な環境を活かして発想を広げるとともに、造形的な美しさだけでなく、「なぜ欲しいのか」「使う人はどう感じるのか」といったユーザー視点やデザインの意図を深く考える力を養ってほしいと思います。
希望する企業に作品をプレゼンできる貴重な機会が、今の仕事につながってる

佐藤芽生さん
2024年|プロダクトデザイン卒
コクヨ株式会社
グローバルワークプレイス事業本部 ものづくり開発本部
デザインセンター プロダクトデザイングループ
当社のデザイン系の業務は、文具を扱う「GST(グローバルステイショナリー事業)」と家具を扱う「GWP(グローバルワークプレイス事業)」に分かれます。私はGWPに所属し、主にテーブルや椅子のデザインを担当しています。また、社外コンペであるコクヨデザインアワードでは、GST担当のデザイナーとともに、トロフィーのデザインや選考などにも関わってきました。
昨年12月に発売された「Opt(オプト)」というテーブルには、開発当初から関わりました。既存の売れ筋テーブルを参考に進化させる新製品だったため、評価の高い商品をさらに良くするにはどうすればよいか試行錯誤しながら、大阪に頻繁に通い、開発担当者と試作を重ねました。直接金型メーカーなどにも訪問し、ものづくりの現場を知ることで、知識や経験を深めることができました。
「Opt」は「ノイズレス」というコンセプトのもと開発を進めました。たとえば配線やコンセントは、出しっぱなしでは作業スペースを狭めますが、奥にしまいすぎると使いにくくなります。意匠性と使いやすさを両立できるデザインを追求した結果、社外へのお披露目の際、多くの方がそうした細かな工夫に気づき評価してくれたことは、大きなやりがいとなりました。

プロダクトデザイン学科で2年次から所属したSTUDIO1では、教授の指導も学生の取り組みも非常に熱量が高く、講評前には、寝る間も惜しんで納得いくまで制作に向き合う日々が続きました。大変なこともありましたが、ものづくりの楽しさに気づき、仲間と切磋琢磨しながら成長できた貴重な経験だったと感じています。
特に、3年次の公開プレゼンテーションは印象に残っています。学生が希望する企業の方々に作品をプレゼンできる貴重な機会であり、みんな本気で取り組み、必死に制作しました。私は当時からコクヨで働きたいと考えていたので、何としても印象を残したいという強い思いで臨んだことを今でも思い出します。最近、コクヨの社員として企業側の立場で参加し、当時とは逆の視点から、この場が企業と学生をつなぐ大切な機会だと実感しました。
多摩美では自分の目標を明確にし、インハウスデザイナーとして活躍できるよう学びを深め、スキルを磨いてきました。ものづくりの基本を徹底的に学ぶプログラムのもと、専門用語や基礎を確実に身につけることができ、その経験が土台となっています。そのおかげで、入社後すぐに業務に携わる際も、スムーズに取り組むことができました。


