G・イーストマンの「ブローニーカメラ」
George Eastman
042 発明家ジョージ・イーストマン(1854-1932)は、他の発明家同様、豊かな想像力と強靱な起業家精神を兼ね備えた人物であった。彼は写真乾板の製造プロセスを完成させ(1880)、紙製ロールフィルム(1884年に特許取得)、コダックカメラ(1888)を発明した。一連のカメラの中で特異な精彩を放っているのが「ブローニ一」である。この妥協を排したシンプルなデザインのボックスカメラは子供にも操作できた。イーストマン社の狙いはこのカメラで多くの少年少女をアマチュアカメラマンにすることであったが、その目論見は見事に成功したと言えよう。「ブロー二一」の名前の由来は、現代のミッキーマウス同様、1900年代の子供たちに親しまれた、パーマー一コックス(1840-1924)の物語に登場するブラウニーズである。この定焦点ボックスカメラは1897年型「ザー」、1899年型「二一ル」によって確立された機構を採用している。フィルムロールホルダーはコダックやブルス1アイカメラに初めて搭載されたもの。シャッタ機構はブレア・カメラ社のフレデリック・H・ケリーの発明である。最初の「ブロー二一」モデルはお粗末な構造であった。が紙フィルム10セント、セルロイドフィルム15セント、本体1ドルで販売されると大ヒット商品となり、世界中で5,000万台以上が売れるに至った。


【素材】ボディはレザーレット(人工皮革)の厚紙。内部を木材で補強。シャッターと巻き取りつまみは金属製。

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス