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A・ノックス作とされるテーブルミラー
Archibald Knox
1902 |
アーチボールド・ノックス(1864〜1933)は、1878年から1884年まで、生まれ故郷のマン島で美術を学んだ後、同島に残るケルト人遺跡の岩石線画の影響を受けたデザイン作品を発表し始めた。ケルト人遺跡は彼の卒業試験のテーマでもある。この鏡をはじめとする彼の作品は、1898年以後、ロンドンのリバティ商会の創始者、アーサー・L・リバティの工場で製作された。リバティ商会の製品は、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動が掲げた職人の手仕事による生産という高い理想をそのまま具現したものではなかった。同運動の主導者たちは、産業革命によって生まれたデザイン性に乏しい製品の大量生産に反対していたが、リバティ商会は、ダイキャストした金属を職人に手作業で仕上げさせ、オーダーメード風の製品を量産したのである。リバティ商会が製品への作者名の記入を許さなかったため、今日に至るまで製品の作者名は不明である。こうしてノックスは、1900年から1904年まで、マン島からクライアントヘ、多くの金属・ファブリック製品のデザインを提供し続けた。このテーブルミラーはその時期の作品と思われる。その後、1909年までロンドンに拠点を移してリバティ商会の仕事を続けた後、新天地のアメリカで仕事を求めたが成功せず、1913年にイギリスに帰国。その後は、マン島に戻り、教鞭をとりながら絵を書いて晩年を過ごした。
【素材】鏡面はガラス。木製枠に銀色のエナメル塗装。
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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