|
O・ワグナーの机と椅子
Otto Wagner
1906 |
オーストリアの建築家、工業デザイナー、ランドスケープデザイナーのオットー・ワグナー(1841〜1918)の初期の作品は、当時のウィーンで人気の、全面に装飾を施した19世紀様式であった。しかし、ワグナーは、ウィーンの造形美術アカデミーの教授に就任した翌年の1895年から、モダニズム初期の様式に傾倒し始め、ウィーン分離派運動の主唱者となった。彼の作品はヨーロッパ建築に多大の影響を与えており、その門弟にはホフマン、オルブリヒ(p.14、28参照)がいる。代表作は鉄とガラスを融和させたウィーン郵便貯金高(1904〜06、1910〜12)である。建物内部の調度は、伝統的な木と新素材のアルミニウムを融合させ、構造が剥き出しになったサイドチェア、アームチェア、スツール、書類整理棚、机等を配置したもの。スツールは全エリアに置かれたが、机はオフィスだけに設置された。会議室の椅子の肘掛けと脚の先端部には、装飾と摩耗防止のためにアルミニウム材を使用。これを高く評価したウィーンのトーネット社、コーン社が家具の製造を彼に依頼する。以後、オーストリア初のアルミニウム素材を使用した家具は、一般向けにも販売されるようになり、今日も、このデザインを改良したものが生産されている。
【素材】茶色に着色したブナ材、アルミニウム
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
|
|
|
|