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C・オリベッティの「M1タイプライター」
Camillo Olivetti
1910 |
カミロ・オリベッティ(1868〜1943)は、イタリアにタイプライター会社を設立するために、1908年アメリカヘ視察旅行に行き、本場のタイプライター製造技術を直接目にしている。当時、ヨーロッパで流行していた装飾芸術とは一線を画した、アメリカ仕込みの機能的デザインは、イタリアの工業デサイン界に大きな衝撃を与えた。世界初の実用タイプライターのスタイルは、1867年までに、アメリカの発明家クリストファー・ショールズが完成させている。ショールズが1873年に発表した、より高速なタイピングが可能な機種の使用権は、銃器製造業のレミントンが買い取る。翌年、レミントンは未完成ながら商業モデルを発表。しかし、オリベッティが「M1」のべ一スにしたのは、タイピングしながらタイプされた文字を見ることができる、1895年のアンダウッドモデルのようである。オリベッティモデルは技術的に進んでいたわけではないが、その機能的デザインは、装飾美の追求に傾いていたイタリア工業界に対する批判勢力を勢いつけた。1911年、オリベッティは、イタリアが工業製品を重視するようになったことを初めて世界に知らしめたツーリン国際産業労働見本市に、自信を持ってこのタイプライターを出品している。「M1」は、1911年の完成が一般的とされているが、実際に完成したのは1908年から1910年あるいは展示される1911年3月A直前だったという説もある。
【素材】塗装したスチール材
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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