J・ホホルのアームチェア
Josef Chochol
1911
042 ヨゼフ・ホホル(1880〜1956)など同世代のチェコの建築家たちは、プラハでプラスチック造形を追求していたヤン・コテラのチェコ・キュビスム運動の第期門下生である。野心的な彼らは、デザインと建築の新しい言語を発展させ、精神-心理学的理論を二角形、平行六面体などの基本形と合体させた。こうした感覚的な家具や建築は伝統建築を劇的に崩壊させていったのである。プラハで学び、ウィーンのオットー・ワグナー(p.24参照)の門下生であったホホルは、プラハで数多くの邸宅やバリカドニク橋(すでに取り壊されている)を設計した。この椅子はテーブルとの揃いで、プラハ市民ホールで開催されたイングリッシュ・サークルのサロン展に出品したものである。単色の布で覆われた、玉座を思わせる椅子は、1913年の諸作品を暗示している。「耐え難いほど邪魔な装飾をたくさん施すことによって、質素でいながらユニークであり、滑らかで爽快感のある現代作品の良さを損ないたくないのです」。彼は1914年にキュビスムと決別し、ロシア構成主義の理論の影響を受けるようになる。


【素材】黒く染色したオーク材、椅子張り用生地(1973年に交換)、金属部品

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス