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G・スティックレーの置き時計
Gustuv Stickley
1914 |
アメリカのアーツ・アンド・クラフツ運動は、産業革命が生み出した粗悪品に抗したという点ではイギリスの同運動と主義を同じくしている。しかし、イギリスでは高い理想の実現に向けたイギリス人の情熱や献身という側面が本質であったにも関わらず、アメリカのそれはむしろその外面的、美的側面の影響が大であった。アメリカのアーツ1アントークラフツ運動では、様式よりも雰囲気が重視されたことからも、その違いは明らかである。同運動の優れた作品にはカリフォルニアのグリーン兄弟(p.26参照)のものがある。しかし、アメリカのアーツ・アンド・クラフツ運動の成功は、特に、アメリカの中流階級に普及したグスタフ・ステイックレー(1858-1942)ら5大兄弟の安価な製品群に負っているといえる。ドイツ名シュテッケルを英語風に綴ったステイックレー家はペンシルベニアに居を構えた。グスタフは叔父の椅子工場で働き始める。1880年代からグスタフはニューヨーク州ビンガムトンに自分の家具工場を持ち、兄弟と共にアーツ・アントークラフツ様式家具の製作を開始した。グスタフはやがて1人でアメリカのアーツ・アンド・クラフツ運動に大きな影響を与えるようになる。彼の会社はニューヨーク市に様々なオフィスを構え、雑誌を発行し、製品のフランチャイズ展開を行った。写真の置き時計は職人の手仕事の趣を出しているが、パーツの大半は機械によって製作されている。機械を使用した作品であってもクラフトと呼ばれるアメリカでは、機械の使用の有無は、イギリスに比べて論議されることは少ない。
【素材】四つ割りのアメリカンホワイトオーク材、真鍮、その他の金属部品、セス・卜一マス機械部品
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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