0・ヘニングの蓋付き磁器
Gerhard Henning
1919
042  ゲルハルト・ヘニング(1880〜1967)は磁器製の塑像で有名だが、この作品は、エキゾチックな人物が東洋的な衣装を着ているのが特徴である。また、この装飾的で機能性に欠けた磁器は、18世紀的表現を20世紀の言語でよりシンプルに表現している。スウェーデンの美術評論家エリック・ウェッデルグレンは、1910年代のスウェーデンとデンマークの装飾芸術を比較し、アーティストが伝統工芸産業で活躍しているデンマークの作品の方が優れていると評した。皮肉にもスウェーデン人のヘニングは、デンマークの陶磁器会社ロイヤル・コペンハーゲンで仕事をしていた。第次世界大戦末期、デンマークは民主主義の洗礼を受け、自由主義国家へと変貌しつつあった。こうした雰囲気の中で、デンマークに陶磁器工芸が定着する素地が生まれていった。ロイヤルロペンハーゲン社のような大手企業が実験的な陶磁器工房の活動を支援したことは賞賛に値する。1940年まで、紬薬をかけた陶磁器像はロイヤル・コペンハーゲン社の特色となった。熟練した磁器作家カール・ハラーが、ヘニングをはじめ、ヤイス・二一ルセン、クヌースークン、画家を父に持つヤン・レネ・ゴーギャンらと仕事をしたのもこの実験工房である。彼らの共同製作作品は1925年のパリ展に出品。ヘニングは同年、ロイヤル・コペンハーゲン社を去った。

【素材】融薬をかけた磁器


100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス