E・ハルトの花瓶「ボールと戯れる女たち」
Edward Hald
1919
042 1898年、バルト海二一ランド島に近いスウェーデン南東部に、ガラス工房オレフォスが設立された。原料は鋳鉄工場から出る製材所の廃棄物である。1916年から1917年、工房はサイモン・ゲイトとエドワード・バルトを雇い入れ、装飾ガラス生産へと移行する。ガラス工芸は初体験の2人であったが、生命力に溢れた力強い作品を次々に生み出した。右の花瓶にはアンリーマテイスの強い影響がうかがえる。バルトは1908年から12年の間、パリでマテイスから絵を学んでいる。この作品は、ハルトとゲイトがオレフォス工房で1920年代から1930年代に、熟練したガラス吹き工、切り工と共同製作した時期の作品で、工房の技術水準の高さを示している。画家であったバルトは、ゲイトよりも絵画的色彩の強い作品を残している。オレフォスの特製花瓶は高価で、同じものは1つとしてなかった。2人はやがてスウェーデンのモダニズムのリーダーとなる。他の工房もオレフォスを真似て、従来のようにデザインと製作のすべてをガラス吹き工、切り工の手にゆだねるのではなく、デザイナーを雇い、ガラス工たちと共同で作品を作る新しい製作スタイルを確立していく。またバルトは、オレフォスでガラス工芸作品を製作する一方、1920年代には他の工房で陶磁器作品も作っている。

【素材】彫刻装飾ガラス


100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス