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「シャネルNO.5」の香水瓶
1921 |
フランスの服飾デザイナー、ガブリエル・ココ1シャネル(1883〜1971)は、エルネスト・ボウと共同で、オート・クチュールとしては初めて、全く人工的な香水の調合に成功した。80種類以上の有機成分を独自に調合した「シャネルNo.5」は、従来のように、臭いを嗅げばすぐにそれとわかるような花の香り成分を主体とした香水とは全く異なっていた。しかし、この香水誕生までの秘話には、シャネル自身の様々な言動も加わって、諸説粉々としている。「No.5」は製造日の1921年5月5日に由来するという説もあるが、信悪性の高いのは、最終的な調合比率を決定したのが実験の5回目であったという説である。実は香水瓶やラベルのデザイナー名さえいまだにはっきりしていない。すでに存在していたデザインだったという説もある。つまり、この香水瓶は当時工業生産されていたノーブランドのもので、ラベルは薬剤師が単に瓶の区別をするために用いていたものをそのまま転用したのかもしれないのだ。この他に、ガラス工房ヴェルリ・ポシェ・エ・デュ・クルヴァルのルー・ドフマンがデザインした一般的な香水瓶としてという説もある。シャネル本人は、エメラルドのカットを真似て瓶の栓をデザインしたと言っている。しかし、この栓はガラス工房で一体成型によって作られたものと考えた方が良さそうである。
【素材】ガラス、紙
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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