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M・ブロイヤーのクラブチェア「ワシリー」
Marcel Breuer
1925 |
1920年代初め、ハンガリーのマルセル・ブロイヤー(1902〜81)はドイツのバウハウスで学んだ後、建築、デザイン、美術クラスの教師をしながら、スチールパイプを使った家具のデザインを始める。彼がデザインした、木や簾とスチールパイプを組み合わせたカンチレバー・チェア「B32」は、今やどこでも目にするはずだ。それ以前に、彼はイギリス人男性専用クラブのしっかり詰め物をしたアームチェアを抽象化した椅子をデザインしている。この椅子は当初「クラブ」と呼ばれていたが、後に「ワシリー」チェアの名で知られるようになった。当時のバウハウスの教授で友人でもあったロシア人画家ワシリー・カンディンスキに敬意を表してこの名前をつけたのである。彼は、ドイツの大手鉄鋼メーカー、マンネスマン社が発明したばかりの押し出し成型シームレスのスチールパイプを溶接して、最初のモデルを作った。製作当初、「ワシリー」のストラップ部分は馬の毛が使われていたが、後に軍人のベルト用に使われる強い綾織の布地に取って代わられた。現在、多くの会社が、綿キャンバス地や革など、ストラップの差別化を図った椅子を生産している。何度もモデルチェンジされているが、現在生産されているのは、1927年後半から1928年初めまでのモデルである。
【素材】ニッケルメッキの上にクロームメッキを施したスチールパイプ、キャンバス地。写真は初期のモデル。
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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