|
L・ミース・ファン・デル・ローエのラウンジ・チェア「バルセロナ」
Ludwig Mies van der Rohe
1929 |
L・ミース・ファン・デル・ローエ(1886〜1969)はドイツ、アーヘンの石工親方の子として生まれた。彼はべ一ター・べ一レンス(p.30参照)のベルリン事務所で、将来、国際様式建築の草分けとなる人々と共に働くようになる。1913年母親の旧姓「ローエ」を付け加えたため、目立つ名前となった。様々な設計案を積極的に発表していた彼は、シュツットガルトのワイセンホーフ・ジードルング展の全体計画を担当した時に、会場に自分の椅子や、M・シュタムのカンチレバー・チェア(p.64参照)を展示した。初期の住宅設計でもミースは家具をデザインしており、1929年から1930年開催のバルセロナ万国博には、有名な「バルセロナ」チェアを出品している。スペイン館を訪れたスペインの国王と王妃は、用意されたこの椅子に腰掛けることなく、立ったまま来客名簿に記名した後、館内を見て回った。この椅子は、1929年モラビアのブルノに建設されたミースのトゥケントハット邸にも設置された。最初のレプリカは、金属加工業のJ・ミューラーによって製作された。手前に見えるクッションの下の革製ストラップは単なる装飾で、実際にはクッション下に配した幾本もの強いゴムが座部を支えている。このクッションはミースの同僚、L・ライヒがデザインしたものと思われる。ライヒはたびたびミースと共同製作した人物で、ミースがバウハウス最後の校長となった1930年からナチスが同校を閉鎖する1933年まで、同校の教師をしている。
【素材】クロムメッキのスチール、皮革、ゴム
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
|
|
|
|