|
R・エールストの本棚とソファーベッドのセット
Rene Herbst
1931 |
ルネ・エ一ルスト(1891〜1982)は、1904年以来、毎年パリで展覧会を開催していた装飾芸術家協会の保守的傾向に嫌気がさしていた。1929年彼のグループは同協会を脱会し、新たに現代芸術家協会を設立した。こうしてこの短気な男は、フランスの装飾芸術に工業用素材を持ち込む、急進派の指導者となった。現在では、1928年に製作された伸縮性のゴムを緩衝材として使った椅子のシリーズが最も有名である。この椅子は1929年サロン・ドートンヌで初めて公開された。過剰な詰め物を避けたカジュアルな椅子で、小さな部屋に物をあまり置かない、当時流行の居住スタイルにぴったりマッチし、その透明感が威圧感を軽減していた。多くの作品を精力的に作っていた彼は、アーガ・ハーン王子からパリのー続きの部屋の家具のレイアウトとインテリアデザインを依頼された。この仕事によって彼は、現代の素材とデザインがエレガントな空間を見事に演出できることを示した。エ一ルストは、パリの自宅アパート用に、写真のような鍛造スチールを使った重い本棚とソファーベッドのセットなど、ユニ一クな作品を数多く製作した。フローティングキャビネットの扉には手描きでカラフルな幾何学模様が描かれている。キャビネットの向こう側にあるベッドには、マットレスが置かれた。透明ガラスの棚の高さは変えられるようになっている。金属製素材への執ようなこだわりと、短気な熱い性格によって、二一ルストは「鉄の男」と呼ばれた。
【素材】鍛造スチール、ラッカー、ガラス、木材【
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
|
|
|
|