G・G・ブレイスデルのライター「ジッポ−」
George Grant Blaisdell
1932
042 ジッポーは蓋を開け閉めするときのカチッという音が特徴で、今や「アメリカのクラシックアイテム」「工業製品の傑作」と呼ばれている。この有名なライターを発明したのは、ペンシルベニア州ブラッドフォードのジョージ・G・フレイステル(1895〜1978)である。一説では、彼はあるパーティーで、ふと風に強いライターのアイデアを思いついたという。彼は話し相手の紳士が見栄えのよくないオーストリア製のライターを使っていて、しかも火つきが悪いことに気が付いた。そこで彼はその紳士に「仕立てのいい服には、それに見合ったライターが必要では?」と提案した。するとその紳士は「しかも、ちゃんと火のつくライターがね」と答えたという。その紳士の言葉が強く印象に残ったのである。商標登録は「ジッポー」デビューの4年後の1936年である。「ジッポー」という名前は「ジッパー」をもじって付けたもの。最初のモデルでは右の写真のように、ヒンジ部分がケースの外側にハンダ付けされていたが、1936年以降は、閉じたときにぴったり重なるようにモデルチェンジし、また、最初のモデルは、角の丸い現在のものよりも5mmほど背が高い。後年に、ワッペンをボディに彫り込んだものや、女性用のスリムなタイプも作られるようになったが、その基本的な構造は今も変わっていない。「ジッポー」は1999年までに3億個も販売された。縦に並べれば地球を半周したことになる。ジッポー社は今でも永久に無料修理を保証している。


【素材】写真は1933年のオリジナルモデルで、チェイス・ブラス&コバー社(米、コネティカット州ウォーターベリー)製の継ぎ目なし真鍮管を使用。クロムメッキで、光沢のあるものとつや消し仕上げのものがある。


100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス