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E・レースのアームチェア「アンテロープ」
Eanest Race
1950 |
イギリスの家具・工業デザイナー、アーネスト・レース(1913〜64)は、ロンドン大学の建築学科でインテリアデザインを学んだ後、1930年代後半にインドでファブリックを学んだ。1935年以降、彼はモデラーとなり、トラウトン&ヤングのために照明器具をデザインするようになる。第二次世界大戦が終結した1945年、レースとJ・W・N・ジョーダンはレース・ファニチャー社を設立し、飛行機のスクラップ材を家具の素材に利用し始めた。曲げ合板やスチール製の棒を使った作品も手がけていたレースは、1949年から1950年「スプリングホック」や写真の「アンテロープ」チェアなどを発表する。1951年開催の英国フェスティバル主催者はこの椅子を採用し、博覧会会場やロンドン中心部サウスバンクに設置した。この博覧会は、イギリスが達成した美術や工業デザイン、科学技術分野での偉業を展示することが目的で、戦後の政府主導の生活必需品生産計画が提供した家具だけを選択し(p.98参照)、質素な生活に耐えてきたイギリス国民に、選択する楽しみを与えることとなった。パビリオンの1つ「ディスカバリー」は雪と原子核のデザインが特徴だった。このレースの軽快な椅子は、多少のこじつけを恐れずに言えば、原子核構造を暗示する脚部先端の4つの球が、科学への新しい取り組みを示し、同時に博覧会の意図をする働きをしたといえよう。この椅子は、スチル製の棒を構造部に使ったクラブ用のクッション付き「DA2」モデルの改良版である。
【素材】エナメル塗装スチール、合板
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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